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エガワくんの約束④

 裕紀は残りの理性をフル動員して余裕のある()ぶりを見せた。 「ほら、立てよ。」  一起の腕を取り、立たせるとまた強く抱きしめた。一起は素直に裕紀の胸におさまった。 「俺はお前とずっと一緒に居たいんだけどなぁ。一起は?」 「………居たい、です。」 「よく出来ました。」  耳元で低く甘く囁かれると、それだけで一起はポワーンとした気分になってしまう。  腰が砕けそうになるのを堪えるため、裕紀の背に手を回し、シャツをギュッと強く握った。 「あー、このまま連れて帰って朝まで抱きてぇな…。」 「無理です。死にます。それに母がいるので帰らせて下さい。」 「はいはい、わかりましたよ。」  腕の中から解放すると、俯きそうな一起の唇を軽く奪ってみせた裕紀。  その裕紀の笑顔に胸を高鳴らせたことを悟られまいと、一起はギュッと目を瞑る。 「また連絡する。死ぬほど楽しみだな。」  また甘い声で囁かれて、一起は「ばーか。」としか言えなかった。

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