467 / 1000
エガワくんの約束④
裕紀は残りの理性をフル動員して余裕のある素 ぶりを見せた。
「ほら、立てよ。」
一起の腕を取り、立たせるとまた強く抱きしめた。一起は素直に裕紀の胸におさまった。
「俺はお前とずっと一緒に居たいんだけどなぁ。一起は?」
「………居たい、です。」
「よく出来ました。」
耳元で低く甘く囁かれると、それだけで一起はポワーンとした気分になってしまう。
腰が砕けそうになるのを堪えるため、裕紀の背に手を回し、シャツをギュッと強く握った。
「あー、このまま連れて帰って朝まで抱きてぇな…。」
「無理です。死にます。それに母がいるので帰らせて下さい。」
「はいはい、わかりましたよ。」
腕の中から解放すると、俯きそうな一起の唇を軽く奪ってみせた裕紀。
その裕紀の笑顔に胸を高鳴らせたことを悟られまいと、一起はギュッと目を瞑る。
「また連絡する。死ぬほど楽しみだな。」
また甘い声で囁かれて、一起は「ばーか。」としか言えなかった。
ともだちにシェアしよう!