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華麗なるアカマツ家③

 すると、また別の人に呼び止められた。 「松田くん。」 「な、な、直能さん!」  智裕の憧れでもある赤松直能だった。キラキラオーラは私服でも同様だった。 「俺たちの分も、明日は全力で頑張ってね。」 「はい!頑張ります!……直能さんにわざわざ現地で応援していただいて嬉しいです。」 「僕は聖斎の引率だからね。」 「は、い?」 「明日、四高のアルプスで演奏するの聖斎(ウチ)の吹奏楽部だよ。」  予算が潤沢でない公立高校の現実として、吹奏楽部はコンクール出場で既に遠征をしており、これ以上宿泊費遠征費を出せない状態だった。  なので代わりに聖斎学園が吹奏楽部、チアリーディング部、応援団のフルコースを用意してくれた。 「僕は聖斎の生徒会長もやってるから、引率になったんだよ。」 「せ、せ、生徒会長ぉ⁉︎」 (マジで文武両道!ま、眩しい!) 「僕も精一杯応援させてもらうよ。」 「ふへぇ……こ、光栄でござんすぅ……。」 「ふふふ……松田くんって面白いね。」 「あ、あの!直能さんの分まで!俺、マジで頑張ります!」  智裕は緊張なのか宙に浮いたような気分になり、何故か敬礼ポーズを向けた。  直能は爽やかに笑いながら「頑張ってね。」と敬礼を返してくれた。

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