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激闘の日【前夜の約束】④
そして、その靄 は裕也の涙になって出ていった。
「な……お………ごめ、ん……っ。」
『裕也さんの為に俺は明日戦います。』
「ば、か…じゃねー…の……。」
『はい。』
「勝てよ……。」
『はい。』
「トモの後ろ、頼んだぞっ!」
『はい。』
「頑張れよ!」
『……裕也さん。』
「なんだよ……。」
『愛してます。』
「………ばっかじゃねーの!もう寝ろ!」
直倫の穏やかな笑い声がかすかに聞こえて通話を終了した。
裕也はスマホを持ったままベッドの上でうずくまって泣いた。そして祈った。
(トモを、直倫を勝たせてやってくれ……頼む!)
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