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激闘の日【2回表】②
四高のベンチも圧倒された。ビジョンに出された八良の球速は153km/h、それを内角を抉るように攻められたからだった。
しかし冷静だったのはキャッチャーの2人と智裕だった。
「あれも怖いけど、松田の方がもっとエグい時あるからな。」
投手の桑原 は八良の球にビビりつつもそう言うと他の部員たちも同調し始めて恐怖をなんとか解いた。
その投球に触発されたように智裕の背負う圧が一層強くなった。
キャッチボールをする今中もミットにボールが入る度に震えてしまうほどだった。
(甲子園だから仕方ないと理解しても、俺だって普通で居られるかわからねぇ……松田、マジでおっかねぇよ。)
カウント2ー1で追い込んだ4球目。畠は高速のシュートを要求してミットを構えた。
これは堀の読みが当たった。
少し鈍い音でバットが拾い上げたボールはセカンドの頭上を越えて堀は1塁を踏んだ。
「うっしゃあぁあ!」
球場はどよめいた。
1塁側スタンドからファンファーレのような音が鳴り響く。応援の熱は上がる。
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