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激闘の日【2回裏】③
投げたスライダーは見送られボールの判定。だがコースは間違っていなかったので、清田は智裕に頷きながら返球した。
「ナメられたもんやのう……。」
ボソッと聞こえた不気味な呟き。清田は背筋が凍ったが、動揺をしないようにと暗示をかける。
(俺がここで崩れたらダメだ…!松田が、あんだけの気迫を持って立っている……1人で、背負っている!)
するとベンチから先輩たちの声が聞こえてくる。
「清田ぁ!気圧されるな!」
「打たせていこー!」
「落ち着いていけー!」
その叫びが心地よく響いて、強張った心が楽になる。
(松田!勝負してやれ!)
「俺には魔球 を使うまでもない…ってことか……?」
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