6番打者は空振り三振、7番打者はセンターフライで凡退させた。智裕は乱れなかった。 「すげーな、松田。」 　裕紀はビールからレモンサワーに切り替えていた。 「裕紀さん、それ何杯目？」 「あー？わかんね。ちょっと腹減ったから何かツマミになりそうなの買ってきてー。」 　そう言うと裕紀は財布から1000円札を2枚出して一起に押し付ける。 「お前も飲みモンなくなったろ？買ってきていいから。」 「……何買ってくればいい、んだよ。」 「一起が食べたいモンで。」 「いや…特にない…んだけど。」 「だーいじょうぶだって。俺は夜にたっぷり食べさせてやるから♪」 「この酔っ払いが。」 　一起は呆れてお金をひったくるとスタンドを降りて売店のある室内へ入った。