519 / 1000

激闘の日【3回表】①

 3回表、四高の攻撃。  8番の川瀬と9番の藤崎は変化球と直球に翻弄され空振り三振。  2打席目になる直倫がバッターボックスに入る。  勢いで三者凡退にしたかった畠と八良だったが、直倫の選球眼と打撃技術は想定以上のレベルだった。  6球目で3ボール2ストライクのフルカウント。あとストライク1つでアウトに出来る。  カンッ  カキンッ  カンッ  カーンッ  フルカウントになってから5球、全てファウルで飛ばされる。投じた様々な球に直倫は食らいついていた。畠もリードが難しくなっていく。 (単打で良しか…でもコイツ出塁させたら厄介やねん。盗塁して一気に得点圏…なんてことになったらハチローさんが崩れてまうかもしれへん…。)  直倫を絶対出塁させまいという強気の選択をした。  八良も納得して、振りかぶって投げた。が、直倫はバットを出さなかった。 「ボール。」  四球で直倫は1塁へ歩いていった。

ともだちにシェアしよう!