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激闘の日【3回表】②

 畠はすぐさまマウンドに駆け寄った。そして八良に伝える。 「ハチローさん、後ろは気にせんとき。2アウトや、次の松田を確実にアウトにするで。」 「わーっとるわ。頼むで畠。」 「頼まれましたから、ちゃんと言うこと聞いてくださいよ。」  2人が解散すると、智裕がバッターボックスに入る。 (無理せんと、確実に、三振したる!)  ズバンッ  ズバンッ  ズバンッ 「ストライク!バッターアウッ!」  全て速球のストレートを外角に投げた。スイングが間に合わない智裕のバットにボールは(かす)りもしなかった。 (打撃が苦手な松田くんやったから三振に出来たけど……なんか…ハチローさん、ヤバいかも…。)  畠は腑に落ちない顔をしながら八良の元に駆け寄る。 「ハチローさん、ナイス!」 「……アカン……何やねん、あのシュッとしたにーちゃん。」 「シュッとしたにーちゃん?」  八良が見据えていたのは、背番号「6」。 「赤松、直倫…?」 「次は、絶対出させへんぞ、クソガキ。」  八良の闘志が獲物を狙うハンターの殺気へ変貌した瞬間、今この場で1番八良に耐性のある畠すら身震いし一歩退がった。

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