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激闘の日【4回表】①
かっとばせー! さっきもとっ!
崎本に放たれた1球目は、崎本も捉えることが出来たチェンジアップ。最初から打ちに行ったが、内野ゴロに倒れた。
1アウトランナー無しで、4番がバッターボックスに入る。
先ほどのヒットが堀の自信に繋がっていることを四高ナインは信じ見守る。反対に馬橋のバッテリー、特に畠は警戒をする。
(さっきは変化球を合わせられた。速い球ならなんとかなるかもしれへん…せやったら、こちらもコレで行くか。)
畠のサインは1回で八良に認められて、セットに入って、オーバースロー。軌道はストレートとほぼ一緒だが、深く落ちて行く。
(スプリット…間に合わない!)
思い切り空振りをすると1回転してよろけた。なんとか転ばずにバットで支え、ピッチャーマウンドを見据えた。
「マジかよ……。」
見慣れていたはずのスプリット。精度は智裕の方が優れていると堀は予想していたのだが、八良が放ったスプリットもそれと遜色ないキレだった。
(さっき俺が打ったのがシュートだったから…直球で勝負するってことか?それともどこかで隙をついてパワーカーブを繰り出すか…。)
「はぁ、はぁ」と息を整えながら考えをまとめようと堀の脳内は必死だった。
「堀先輩!冷静に!冷静に球を見てください!」
ネクストバッターサークルから清田が声をかける。堀は一つ、コクン、と頷いて再びバッターボックスに入った。
(馬橋の松田も凄いレベルだ。だがな……ウチの松田も……松田の為にも…!)
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