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激闘の日【4回表】③

 清田の予想は大当たりだった。八良は威嚇する野良猫のような荒い呼吸を繰り返していた。  サードの中川はマウンドに駆け寄ってグラブで唇を隠しながら、右手で八良を宥めるように背中をさすっていた。 「失点しとらんのや、冷静になれ。」 「わーっとる……俺が、出塁…同じ奴に、2度も……ありえへん…絶対に!」 「俺らも悪かったて、2つアウト取るで、ハチロー。」  中川が八良の背中をバシッと叩くと、八良は乱れていた呼吸を整えることが出来た。  バッターボックスに清田が入ると、畠のサインを確認して1度首を振った。2度目のサインで頷いてセットに入る。  ズドンッ  直球勝負を仕掛けてきた。大きく内角に入り、清田はその軌道に自分への殺意を感じ取った。 「清田ぁビビってんじゃねーぞ!」 「堀をホームに返せよ!」 「打てよ清田ぁ!」 (好き勝手言ってくれちゃって…。)  パワーカーブは詰まってファウル、次のストレートは見逃し。  カウント2-1で八良が選んだ球種は、手元でフッと落ちた。しかし清田のバットから音が鳴った。  津川(ライト)のグラブに白球が収まった瞬間、堀は全速でホームベースを突っ走り余裕で5角形を踏んで、4回表、同点になった。

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