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激闘の日【エース降板】①
内角低めのシュートを投げた八良。その白球は、智裕のスネに直撃した。
ここで投手は礼儀として脱帽しなければならない。先程、金子に当ててしまった智裕もそうした。
だが八良は微動だにしなかった。
ただ、この世の終わりかのように智裕を見つめていた。
畠はすぐに立ち上がりキャッチャーマスクを取ると、まず智裕に謝る。
「松田くん、すまん!足、平気か?」
「いや…レガースしてっから……それより。」
智裕は八良の方を見ながら畠に告げる。
「八良先輩の様子がおかしい…早く行ってやって。」
「ホンマごめん!あのチビにはあとで謝らせるから!」
畠はもう一度謝るとマウンドに駆けながら怒鳴った。
「ハチロー!お前帽子取れやゴラァ!」
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