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激闘の日【マツダくんのヒーロー】①

「アンタも松田言うん?」  U-15で1年生は智裕だけだった。  ほとんどのメンバーは3年生で顔馴染み同士で、小学校を卒業したばかりの智裕はその輪に入ることは当然だが出来なかった。  そんな時に声をかけてくれたのは、1つ上の松田八良だった。 「俺も松田ゆーねん。よろしゅーな。」 「あ、はい…。」 「下の名前なんて言うん?俺はハチローやから、ハチローって呼んでな。」 「俺は、智裕って言います……。」 「んじゃ、トモちんやな。はい、決まりー!」  その日から“松田八良”は智裕にとってヒーローになっていった。 「トモちんって左投げ(サウスポー)なんに、箸は右なんや!すごっ!カッコええな!」 「俺、右が本当にポンコツで…1番初めに入ったチームの監督から指摘されて…そしたらなんか…。」 「それホンマなら漫画みたいやな!天才やん!俺と一緒ー!」  食事、練習、休憩、いつも八良は智裕と一緒にいてくれた。  そして、初陣となる2日間の親善試合のスターティングメンバーが発表された日だった。

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