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激闘の日【マツダくんのヒーロー】②
監督から告げられたオーダー、言葉は異例のものだった。
「1日目は松田智裕、2日目は松田八良が先発だ。」
当然、多くの3年生からは疑問が上がり、その日のうちに智裕は責められた。
「1年のくせに生意気なんだよ。」
「お前みたいな体も出来てないヘタレがどうしてだ。」
「コネでも使ったのか。」
謂れもない非難を浴びるが、智裕はもちろん反論は出来ずにただただ耐えるしかなかった。
「ホンマ見苦しいわー先輩ら。そんな悪口言うとる暇あったら練習したらどうです?」
八良はハッキリとそう言い切った。それに反論出来るものはいなかった。
「トモちんは、アンタらがグダグダしとる時間もずっと練習して、トレーニング室で鍛えて、努力してんねん。それが結果に繋がっただけや。ま、俺様は天才やから当然やけど、な!」
そうして智裕を庇 う八良の右手はボロボロだった。
どれだけ投げ込んでいるのか、体をいじめ抜いているのか、智裕にはすぐにわかった。
(この人は、天才だ。努力の、天才だ。)
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