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ノムラくんの警告⑥
拓海からの電話を切った野村はその場にしゃがみこんだ。
(あんな言い方でもしなきゃ、絶対めげない人だから…変な優しさは今は誰のためにもならない…ならないんだけど。)
「嫌われ役はつらいなぁ。」
顔を下に向けて「はぁ」と大きなため息を吐いていると、足音が近づいてきた。
「もしかして、まっつんの彼女?」
優しい口調の関西弁だった。野村は顔だけあげて声のする方を向くと、チューペットを咥えた馬橋の部長の金子がいた。
「盗み聞きですか?」
「人聞き悪いわぁ、聞こえたんや。まっつんの彼女がケータイ繋がらへんから繋いでくれとかお願いされた系か?」
「はぁ…よく分かりましたね。」
金子は野村のすぐ近くの壁に持たれてチューペットを「ジュー」と吸い込む。
「せやけど、まっつん女教師に手ェ出しとんのか。ヘタレのくせにやるやんけ。」
(女教師ではないけどね。)
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