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激闘後の晩餐②

 女子たちの黄色い声に反応してそちらを見た畠と清田は「あー…。」と妙に納得して正面を向きなおした。 「あの四高の女マネ……ウチの女マネとえらい仲良ぉなっとるな…。」 「仲良くというか徒党を組んでる気がする。」  2人は「はぁ」とため息をついて、イカの寿司を同じタイミングで口に運んだ。 「なぁ、清田くんはU-18のトライアウト受けへんの?」 「受けねぇな。俺大学進学希望だし。」 「プロ、目指せへんの?」 「まぁ、少しは夢みてたけどやっぱり今日畠くんを見て、俺はこれ以上を目指す事は出来ないなって諦めついた。」 「えらい現実的やな。なんや…寂しいなぁ。」  畠は少し寂しそうな笑顔を浮かべた。清田はそんな畠を見ながらクスッと笑い、言葉を出す。 「秋季大会は、春選に絶対行ってやるつもりで臨むから。」 「………ホンマ?」 「多分今日の試合じゃ、うちのエースも多少の心残りがあるだろうし、もっと進化すると思う。堀先輩たちがいなくなるのは痛いけどな。」 「そうか……そうなんやぁ……!」  畠はパアッと明るい笑顔で清田を見つめた。 「あ、あのな、また今度配球とかリード教えてーや。俺まだまだやねん、清田くんのリード凄かった!スリークォーターの左腕をあんな操れるの、ホンマ凄かった!」 「じゃ、U-18のトライアウト受かってメンバー入りしたら教えてあげるよ。W松田対策としてね。」 「ホンマ?おおきに!……あ、俺のことは(アキラ)とかあっくんって呼んでくれへん?」 「じゃ、俺のことも恭介(キョウスケ)でいいよ。」 「うん!キョースケ!」  隣にいた川瀬が「じゃ俺もキョースケって呼ぶ!」と言ったら清田に鼻の下にワサビを塗りたくられた。

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