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激闘後の晩餐⑧
「アマタツくん。」
「だから赤ま……んぐ。」
直倫はまた間違いを指摘しようとしたらその口に特大の唐揚げを押し込まれた。
犯人はいつの間にか戻ってきていた八良。
「ひゃーはっはっは!い、イケメンが、間抜けやのぉ!ギャハハハハハハ!トモちんも見てみぃ!」
八良は智裕の顔を両手で掴んで直倫の顔に目を向けさせた。
「…………ふ、ふふ…。」
「あ。」
「ふふふふふふ……ははは…な、なに……あーははははは!」
智裕は腹を抱えて爆笑した。
その姿に四高の部員たちは驚愕した。直倫も唐揚げをくわえたまま驚いた顔をする。
「赤松サイコー!いけ、イケメンがぁ、か、から、唐揚げで、ヒャハハハハハハ!」
「な?ケッサクやろ?…ぶはっ!しゃ、写真撮ったろ!四高のみなさん!今のうちやで!」
八良の合図で四高の部員たちは一斉に赤松の変な顔を写真におさめた。
「は、はち、ろ……ぐふふ…あ、せんぱ……あ、あとで…送ってくだはい…ハーッハハハハハハハ!」
八良の肩に手を置いて智裕はまだ笑う。驚いてた中川も連鎖して爆笑しだす。
「赤松イケメンがザマァだな!」
「お前もうこれからその顔でいいよ!アハハハハハ!」
「か、拡散したろ……くっそ間抜け…ギャハハハハハ!」
「ほっお…はへへふははひ!」
「何言ってんのー⁉︎ハハハハハハハハハ!」
人生でいじられることがなかった直倫は、どうすれば良いかわからず固まってしまっていた。だが、つい数分前まで屍のように生気を失ってた智裕が笑っていることに安心する。
椅子から立ち上がって、八良の後ろに立って。
(いや、バックハグはまずいでしょ……松田先輩…。)
(松田くん…いくらなんでもそれはイチャつき過ぎだって!)
「八良先輩!俺次しっかりやるんで!先輩も倒れないで下さいよ!」
「あったりまえや!打倒アメリカーン!」
「打倒アメリカーン!」
「トライアウト受ける奴もや!打倒アメリカーン!」
何故か全員でレスポンスをする。「打倒アメリカーン!」と。
唐揚げをなんとか食べきった直倫は咀嚼しながら浮かない顔をしていた。
(トライアウト……野球……聖斎……裕也さん…………。)
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