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ホシノの過去①

 大阪に移動してホテルにチェックインした裕紀と一起は、夕飯を食べるために近くのお好み焼き屋に入った。 「お飲み物は何にいたしましょう?」 「俺は生中。一起は?」 「えっと……サイダーで。」 「かしこまりましたー。」  席に着くやいなや飲み物を注文して、冷たいおしぼりで手を拭いた。一起の目は少し赤かった。 「……すいません、なんか、馬鹿みたいに泣いてしまって。」  時間が経って冷静になった一起は自分の行動を恥じて、拗ねたように謝った。  灰皿を自分の近くに引き寄せて、タバコを吸おうとしていた裕紀は咥えていたタバコを落としそうになった。 「馬鹿みたい…って……ブッ。」 「な……っ!何で笑うんですか!」 「そーだなぁ、クラスの連中にも見せてやりてーくらい傑作だったなぁ。お前でも以外で泣くことあんだな。」  からかうように笑うその顔も色っぽくて一起は顔を真っ赤にした。  そのタイミングで飲み物が運ばれてきた。

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