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ホシノの過去③
「あの人、知り合いですか?」
「あ?学生時代の友人だよ。」
「……バリバリ関西弁だったんですけど。」
「あー、俺、地元大阪 だから。」
「………嘘ですよね?」
「そんなんで嘘ついてどうすんだよ。」
一起はあまりの衝撃に固まってしまった。
裕紀が2本目のタバコに火をつけ煙を吐いたタイミングで柴原が生ビールを持ってきた。
「はい、俺の奢り分や。サイン頼んだでー。」
「はいはい。」
「つーか星野、お前まさかこれで夏休み使 ぉたわけやないやろうな?」
「いや、そのまさかだけど。」
「はぁ?お前、今年は萌香 の17回忌やろ!」
「……そうだっけ?」
裕紀は少し黙ったあと、トボけたように返事をした。一起はその反応に、少しだけ不安を感じた。
裕紀の冷めた反応とは対照的に柴原の説教くさい会話が続く。
「そうだっけ?やないやろ!萌香が忘れられへんとか女々しい理由で2年で離婚したんは何処のどいつや?」
「もう昔のこと過ぎて忘れたし。」
「ほぉ…俺は4年前の結婚式に5万も包んだの忘れとらんぞ。」
「何?そんなに祝儀包んでくれたの?あざーす。」
茶化すように裕紀は笑い、タバコを灰皿に押し付ける。
(もしかして……。)
_俺さ、夕方の空とか影とか色とか音とか、超苦手なんだよね。
_人のことばっかで、自分と向き合ったらさ、勝手に自分を追い込んで、1人で溜め込んで……それで終いだったよ。
いつだか酔っ払った裕紀が零した言葉と涙が一起の脳内で再生された。
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