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ホシノの過去④
「それって俺に似てるって人、ですか?」
思わず口に出してしまった疑念。
その呟きに裕紀と柴原は驚いた表情で一起を見る。
「あの……。」
「星野、この子誰や。」
「あ?俺のコレ。」
ビールを飲みながら、裕紀は小指を立てて柴原にあっさり白状する。一起は顔を真っ赤にしてしまう。
「いやいやいや!これ児童ポルノなるん違う?てかお前ソッチやったんか!」
「バーカ、冗談だよ。こいつは松田智裕の親友。担任特権でチケット貰ったから連れて来ただけだ。」
「なんやびっくりしたわぁ……あ、すまんな、置いてけぼりにして。」
柴原はニコニコとしながら一起に詫びる。一起は慌てて「大丈夫です。」と伝えた。
「俺はこの星野の幼馴染の柴原や。実家がおんなじ町内でな、コイツのこと色々知っとるでー。」
「柴原、生中追加。あとミックス豚玉と焼きそば。さっさともってこい。」
「へいへい。ミックスぶたー、あと焼きそばー!」
柴原は空のジョッキを持ってまた厨房に戻って行った。
「せんせ…。」
「ひーろーきー。」
「……裕紀さん、関東の人だと思ってました。」
「俺は両親が2人とも東京の人だったから、コテコテな関西弁は使ってなかったからな。」
「そうなんですね……。」
一起はまたサイダーを飲んだ。その姿をタバコを吸いながら裕紀はじっと見つめた。
「ちゃんとお前には話さねーとな。」
フーッと煙を吐くと、裕紀は一起の目を射抜くように見る。
その視線に一起はまた心臓がうるさくなる。
「萌香っつーのは高校からの同級生だった女子で、18の時に俺の目の前で死んだ。」
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