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ホシノ先生とツワブキさん②

「なんやと!我がご町内のアイドル拓海やぞ!まさか東京モンになって……。」 「お待たせいたしましたー焼きそばですー。」  別の店員が鉄板の上に出来上がった焼きそばを載せた。ソースの匂いが漂う。  空腹なのだが、一起の頭の中はそれどころではなかった。そして涙も驚きで止まった。 「拓海って、石蕗(つわぶき)先生のことですか?」 「そうだけど。」 「じゃ、じゃあ柴原さんって……石蕗先生の…。」 「義理の兄だよ。」 「えええええええええええ⁉︎」  一起が大声を出して驚きを表すが、裕紀は何事も無かったかのように焼きそばを取り分けた。 「あ、そっか。君も拓海を知っとるんやなー。どや?男やけどベッピンさんやろ?惚れたらアカンでー。鬼みたいなブラコン姉がおるからなぁ、それで今まで何人の男や女が逃げていったか……。」 「拓海くん、男いるぞ。」 「…………はああああああああああ⁉︎」  今度は柴原が大声で驚いた。  その勢いで持っていたマヨネーズボトルを握り潰してしまい、お好み焼きの上にドバッとかかってしまった。

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