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惜敗の明朝③

 近くで座っていた清田がさらなる燃料を投下した。 「あーあ、松田、年上の社会人彼女に怒られろー。」  男子高校生にとって「年上の社会人彼女」というワードは羨望そのものだった。  なので四高だけでなく馬橋の生徒たちも一斉に智裕を見た。  そして配膳をし終えた金子も通りすがりにさらっと爆弾を投下する。 「ええなーまっつん。女教師から手取り足取りあれやこれやを教えて貰えるんやろ?」  禁断のワード「女教師」に四高の生徒たちは絶叫した。 「松田あぁあぁぁあああ!おま、お前学校の先生に手ぇ出してんのかあああぁぁぁ!」 「ななななななななな何言ってんですかあああぁああ金子先輩いぃぃぃぃぃぃぃ!」  桑原にブンブンと揺らされながら智裕は金子に向かって青い顔をしながら絶叫する。  黙々とご飯を食べる野村は心の中で智裕に謝った。 「誰だ!事務員の久米(くめ)ちゃん⁉︎それとも音楽の千葉(ちば)ちゃん⁉︎」  悲しいことに四高で性的対象になり得る女性職員はその2人しかいなかった。  そこから「久米か千葉か」問答で責められた。 「違う違う!どっちも違う!俺はどっちかって言ったら久米ちゃんがタイプですけど!」 「久米ちゃん好きはMだからな!M田くん!」 「ぎゃははははは!なんやー“東の松田”はドMなんかぁ!ええこと聞いたでー。」  まさかの八良にまで弱みを握られて、智裕が体を揺すられすぎたせいで目眩を起こして騒動は収束した。 「ウチも大概やけど、四高もまとめるん大変やな堀さん。ウチはあとでグラウンド5周追加やな。」 「………ウチは明後日の引き継ぎの後に3年もランニング10周だな。

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