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戦友たちとの別れ⑤
「そろそろ出発するぞ。」
はい!
森監督の一声で、四高の部員は整列する。
そして一歩前に出た堀が代表をして挨拶をする。
「数日間大変お世話になりました。そして悔いのない全力の戦いに感謝します。僕たちの分まで決勝まで勝ち抜いて必ず優勝してください!気をつけ!礼!」
ありがとうございました!
監督同士が握手を交わし、四高の部員は新大阪駅に向かうバスに乗り込む。
「トモちーん!またなー!」
「今度は味方でよろしゅーな!」
「キョースケ!今度は春やで!絶対秋は優勝せぇよ!」
それぞれ仲良くなった人に声をかけて、智裕たちは手を振って応えた。
バスのドアが閉まって出発した。四高の部員たちは見えなくなるまで馬橋の部員に手を振った。それは馬橋も同様だった。
「………キョースケ…。」
明らかにしょぼくれた畠の後ろで、梨々子はほくそ笑んだ。
「畠さーん。」
「何や、飯田姉。」
「ウチは応援しますよ。」
「は?」
「好きなんやろ?清田さんが。」
耳元で梨々子がそう言うと、畠は一気に全身が真っ赤になった。
「なななな何でや!そそ、そんなこと!俺はトライアウト受かる気満々やねん!それでキョースケに、その…松田くんのリードとか…その。」
「隠さんでええですって。ホンマ可愛いわぁ♡」
「なんやねん飯田姉!」
ムキになる畠を外薗はこっそりムービーで隠し撮りしていた。
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