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ミズカミくんの宣戦布告①
第四高校の初戦敗退翌日、学校は慌ただしかった。
主に3年生の補講授業、そして部活動で生徒も多く登校していた。
職員たちは15時から行われる野球部の報告会とマスコミ対応に向けての準備に追われていた。
初戦敗退とはいえ強豪ひしめく県内では出場を決めただけで快挙であり、それを讃えに区長や地元の市議までやって来るのだから大わらわである。
「ツワブキせーんせ。」
保健室の前に生徒が1人いた。拓海があまり見たくない顔でもあった。
「水上くん、おはよう。」
「先生、どうしたの?目、腫れてるけど。」
「あ……あぁ、ちょっと疲れてるのかな?情けないところ見られちゃったなぁ。」
いつも通りに笑ってみせた。そして水上から逃げようとすると、水上はそれを許さなかった。
「本当に情けねぇよな。俺、こんな奴に好きな人取られたんだ。」
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