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おかえり、マツダくん③
(そうだよ、俺なんか……支えられないよ。)
「野村くんがね、昨日はごめんなさいって…言ってました。またあとで直接謝りにきますって…。」
「え……。」
「新幹線の中で私も話を聞きました。それにさっきも報告会で先生が憔悴してたの、自分の所為だって野村くん……言ってて。」
「違う、それは違うんだ。」
確かに昨日はショックなことが多すぎた。夜通し泣きもした。
だけど朝には少しだけど立ち直っていて、そこで水上に攻撃されてしまったからだった。
決して野村のせいではないと拓海は思っている。
「……昨日の松田くん、馬橋の先輩方や赤松くんのお陰でなんとか立ち直りました。今朝もご飯をモリモリ食べてて、あ、新幹線降りたら人が凄いいて、それで『俺のモテ期キター』とかいつもみたいに調子乗ってたし……今は左腕が少し疲れてるだけで、大丈夫ですよ。」
「左腕……。」
「それと、野村くんが昨日先生に冷たく言ったのは、先生を傷付けないようにする為だったんです。きっと先生がどんな言葉をかけても松田くんは自分を否定するようなことばかり吐くだろうって……松田くんは先生が大好きだから、大好きだからこそ、『どうして俺が…』って言葉を先生に吐くかもしれなかった…だから先生を守るためにわざと諦めさせたんです。先生がウザかったとかそういうことじゃないんです。私も野村くんも同じクラスでずっと松田くんを見ていたから…余計に昨日の松田くんには近づけなかったんです。」
増田は苦しそうな顔を無理矢理に笑って拓海に見せた。
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