631 / 1000
ただいま、ツワブキさん①
母と車で帰宅する。駐車場から自宅のある棟に入ろうとすると入り口に見慣れたひょろりとした人影があった。
「あら、椋丞 くん。」
「ちわっす。」
夏休み中なのになぜか制服を着た宮西が智裕に近づく。
そして智裕の大荷物をヒョイと取り上げ、その辺に放す。
「おい!何してんだ!」
「あ?お前ガッコ行かなくていいの?」
「俺病院帰りだっつの!また次の登校日に報告会する……って。」
ドサッ
ダァンッ
一瞬だった。
宮西が智裕の胸ぐらを掴んでエントランスの階段に尻餅をつかせると、智裕の顔のすぐ横で足ドンして怯ませて身動きを取れないようにした。そして冷酷な目で智裕を見下す。
「朝から補講とかでガッコだったんだわ俺。」
「そりゃ5教科赤点…だしなぁ……。」
「ツワブキちゃん、超目ぇ腫れてたんだけど。」
「……………は?」
「お前が昨日だらしなく倒れたところ、テレビで放送されてたんだよな。」
初めて知った事実に智裕は冷や汗をかいた。そして久々に見る宮西のガチギレモードに恐怖で震える。
「で、例の如くお前スマホ切りっぱなしじゃねーの?」
「……あ……うあ…。」
「図星だなぁ…その調子だと。おら、立てよ。」
強引に左腕を引っ張られて立たされる。智裕は膝が笑っている。
ともだちにシェアしよう!