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ピアス①

 バチッ 「っつー………ぅ。」 「うっわー痛そー。」 「いてぇよ……あーっ!」 「はい、もうしばらく冷やしとけよ。」  久しぶりに宮西と裕也と智裕の3人で裕也の部屋に集まっていた。  目的は裕也の右耳の軟骨にピアスホールを開けることだった。  宮西が容赦なく裕也の右耳軟骨を貫通させ、見ていた智裕はチンサムを起こした。裕也は氷を入ったビニール袋を患部に当てて「あー。」と唸る。 「そういやさ、トモってもうピアスしてねーの?」  裕也は智裕に寄ると、右耳の耳たぶを摘んで観察する。 「してねーよ、部活で禁止されてるっつーの。」 「あー、塞がり始めてんな。」 「どれどれ?」  今度は宮西が寄ってきて、智裕の右耳に鼻を近づけた。 「あー、無臭。」 「当たり前だろ。」 「嘘、イカ臭い。」 「ンなわけあるかあぁぁぁぁ!」  智裕がツッコミを入れると宮西は間髪入れずにその塞がり始めた耳朶を甘噛みする。 「ひぁあぁぁぁぁっん!」  突然のことで智裕は甲高い声を上げてしまう。  裕也は左手で床をバンバン叩きながら爆笑する。  やられた智裕は右耳を押さえて宮西から離れる。

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