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ピアス③
回想開始――
1年の秋、智裕は宮西と裕也と裕也の部屋にいた。
「あ、そういやさ、俺ヨーコさんに誕プレ貰った。」
「いいなー、彼女持ちはよー。俺なんかオフクロに野口さん1人だったんだけど。」
「俺もケーキを姉貴が全部食ってたし。あんなことしてっから彼氏出来ねーんだよ。」
「ははは、平伏せ愚民ども。」
勝ち誇った嫌味ったらしい笑い顔で宮西は髪の毛を耳にかけて誕生日プレゼントを自慢した。小さいワインレッドの石がはめ込まれたリングピアスがキラリと輝いていた。
「あー、椋丞っぽい。」
「さすがヨーコさんだな。つーか宮西、そこ新しく開けたろ。」
「夏休みに開けたんだよ。お前らもやる?」
宮西は中2の終わりからピアスホールを増やし、この時点で右に3つ、左に2つも開いていた。
「さすがに軟骨は痛そうだから勘弁だわ。」
裕也は左に2つ、高校に入学してすぐに開けた。智裕は部活で染髪もピアスも禁止だったので耳は真っさらだった。
退部してから髪の毛だけは軽くブリーチをかけて明るめの茶髪にしていた。
脱色した翌日、クラスメートからは「遅すぎる高校デビュー」と大爆笑されたが。
「うーん……1個くらいなら開けてみてぇな。」
「トモがピアスなぁ……絶対ぇビビりそう。」
「やるか。」
宮西は立ち上がって即行動に移す。
その顔がニヤニヤとしていて智裕は嫌な予感しかしなかった。
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