656 / 1000

ピアス⑥

「アメリカ行く前には塞がって欲しいんだけどな。」 「えー、なんでだよー。」 「十中八九お前のせいだよ宮西椋丞。」 「あー、だって俺も知らなかったしー。」  宮西は智裕の目を見ないで棒読みだった。 「絶対知ってただろ。」 「それにお前男と付き合ってるからあながち嘘でもないじゃん。」 「拓海さんをその辺の男と同じフィールドで語るな!」 「てか日本代表にピアスホールってフツーに叩かれるだろ。残ったら絆創膏貼った方がいいぞー。」  野球部に復帰する際、頭は自分から丸めていたがピアスホールだけはどうにもならなかったので監督の森には目を瞑ってもらっていた。  だが裕也の言う通り、日の丸を背負うチームの一員としてこれはマズいことだった。 「じゃあスプリットの使い手だけにスプリットタンっていうのはどうだ?」 「全然上手くねぇから!」  スプリットタンを知る裕也は思わず口を守るように片手で塞いだ。 「舌にピアスあったら相手を舐める時とか楽しそうじゃね?」  「べ」と舌を出す宮西に対して2人はゾッと身震いをした。 「そこまで俺は身を削れない…。」 「ドMが何言ってんだよ。」 「ドM関係ねーし!」

ともだちにシェアしよう!