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ピアス⑧
智裕は部活の後、石蕗 家に訪問して、茉莉のオモチャになったいた。
「ぷっちゅー。」
「ん?あだだだだ!」
「きゃあー!」
右の耳たぶを思い切り引っ張られ、引っ張った本人は手を叩いて笑う。
「こらまーちゃん。智裕くんにごめんなさいは?」
「とーと、あーと。」
「え……あ、ありがとう。」
「もー、違うでしょ。ごめんね智裕くん、痛くなかった?」
心配そうに拓海が至近距離で近づいて智裕の右耳に触れる。
(茉莉ちゃん!ありがとう!)
「……あ、ここって…。」
「うん、ピアス。野球部入ってからはしなくなったからもう塞がりかかってる……早く塞がって欲しいんだけど。」
「……どうして?」
「いや、アメリカ人ならまだしも…体裁が悪いというか……国際試合の高校球児の日本代表がピアスってやばいでしょ。」
「あー……そうなんだ……。」
「?拓海さん?」
「キラキラしてて、カッコよかったんだけど…なぁ。」
俯く拓海の顔が寂しそうなのに紅潮してた。智裕はその頬に思わずキスをした。
「ちゅー!」
茉莉も便乗して拓海の頬にキスをした。
「穴開けないピアスとかあるし、今度拓海さん選んでよ、ね?」
「よー!」
「そんで俺が拓海さんの選んであげるね。」
「ねー!」
(なんかまーちゃんが合いの手打ってるみたいで楽しいな。)
拓海は茉莉がいるとはいえ、智裕と出かける期待にドキドキしていた。
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