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ピアス⑨

 数日後、2年5組のグループ通信はまたもや嵐が起こった。  智裕が投下したのは、水色の天然石のマグネットピアスをつけて、髪をかきあげて微笑む拓海とニコニコしている茉莉が写ってる写真だった。 _んほおぉぉ!石蕗先生かわいいー! _夏休みのツワブキちゃんだあぁぁ(*゚∀゚*) _送信者には殺意しかないけど _ツワブキちゃんかわいい♡ _ツワブキちゃんのピアス、えっろ(*´艸`) _松田のくせに生意気だ! _うはー癒されたー(*´д`*) _ツワブキちゃんの娘可愛すぎる! _ひれ伏せー童貞どもー( ̄∀ ̄) _死ね! _ヘタレ! _調子乗ってんじゃねーぞ! _引っ込め引っ込め!  そしてブーイングを起こしたのは、拓海と智裕がお揃いのマグネットピアスをして自撮りしている写真だった。 「あー、妬んでる妬んでる。」 「ちょ……は、恥ずかしいから…。」  智裕はグループ通信を見ながら優越感に浸り、拓海は寝ている茉莉を抱っこして智裕に寄り添って電車で座っていた。 「アイツらは俺と拓海さんがラブラブなの知ってるからいっぱい自慢したいのー。」 「そんな……むぅ……。」 「もー、膨れないでよー。帰ったらいっぱい愛してあげるから、ね?」  わざと智裕が低く甘い声で囁けば、拓海はたちまち顔が熱くなる。  そして反射的に左耳につけたマグネットピアスに触れる。智裕はそんな拓海の左耳に触れて、笑う。 「うん、やっぱ拓海さんは水色が似合うね。」 「そ、かな?」 「アクアマリンだっけ?これ。」 「うん……幸せの象徴って書いてたね。」 「じゃ、これ選んで正解だ。俺拓海さんが恋人でちょー幸せだもん。」  そう無邪気な笑顔を向けられた拓海は、理性をフル稼働させて智裕に微笑みを返した。 (本当に……智裕くんを好きになって、幸せだなぁ。)

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