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マツダくんの部屋②
ということで現在午後12時過ぎ、松田家の北側にある4畳半の智裕の部屋に2人はいた。
冷房の効きが悪くうっすら暑い。
(あー……今セックスしたらやばいかも…したいけど。)
智裕は理性と本能と格闘していた。
そんな智裕を知ってか知らずか、拓海は無邪気に智裕の部屋を見渡している。
「この写真、中学生のときの?」
拓海が手にしたのは机の上にあった写真立てだった。
「うん、中2の時のU-15日本代表の集合写真。」
「あ…智裕くんが黒髪だ。隣の人……。」
(この人…背丈は同じくらいだけど、智裕くんの対戦相手だった…。)
「拓海さん、おいで。」
智裕は拓海がまた俯き始める空気を察して、ベッドに腰掛けて拓海を呼んだ。
拓海は写真立てを持ったまま2歩進むと、智裕に腕を引かれてそのまま軽々と智裕の脚の間に座らされた。
「……俺、自分のこと拓海さんにあんまり教えてなかったね、ごめん。」
「ううん。お父さんや大竹くん達からも教えてもらってたりしてたよ。」
「………どうせロクでもねーことだろ。」
脱力した智裕は拓海の肩口に顔を埋めてため息を吐いた。拓海は背面に伝わる智裕の体温のせいで心臓がうるさい。
智裕は顔をあげると、少し赤くなってる拓海が愛おしくて、耳の裏にキスをする。
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