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動き出す夏の恋④
一起が右手で智裕の首をギリギリと締めながら、何事もなかったかのように話を進める。
「待ち合わせは駅で、電車で40分?くらい…で夕方まで遊んで、乗り換えの駅に降りてご飯食べて…ここからよね。」
「そーだなー…で、そっからどうやって2人きりにすんだ?」
「まず、大竹は赤松くん誘ってホテル街でも行けばいいんじゃない?」
「却下。」
裕也は青い顔をして高梨を睨んだ。
「じゃあ、服でも引っ張って『俺…2人きりになりたいな』って可愛く上目遣いでおねだり、拓海さんなら可愛いだろうな。」
「そうだな、俺じゃなくてツワブキちゃんなら可愛いだろうな。」
「とりあえずやり方はどうであれ、大竹が赤松くんを連れ出せばいいんだろ?」
「そういうこと!頼むわよ。」
「げー……。」
「付き合ってんでしょ?そんな嫌そうな顔しなーいの。」
「はいはいわかりましたよ。」
裕也は「あーもー!」と言いながら両手で顔を覆って下を向いた。想像するだけで恥ずかしくなったからだった。
「で、私らはどうしようか、江川くん。」
「俺はファミレス行く前にバイトだって言って抜けるよ。適当にどこかで時間潰すし。」
「……高梨はトモに話あるからって言って抜ければ?」
「は?」
「最近お前ら2人でコソコソ何かしてんの俺知ってんだぞー。」
「はぁ?」
「別に何もしてないわよ!」
「するわけねーじゃん、高梨だぞ。」
けろっとしている智裕に対して高梨は少しだけ焦ったような表情だった。
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