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動き出す夏の恋⑤
高梨のことを昔から知っている裕也は智裕を軽蔑するような目で見る。
(ほんと…トモ、1回死んだ方がいいんじゃね。高梨が不憫すぎる。)
まだ1年半の付き合いの一起でさえ高梨の気持ちには気がついていた。
「はぁ……でもそーだな、高梨のこと知ってる2人になら通用するんじゃね?」
「あ?」
「ちょっと大竹!」
「高梨がいいんだったら俺はそれでいいけど…で江川っちと合流すりゃいいんじゃね?」
「はぁ⁉︎」
「何?そんな俺と嘘でもデートみたいなのすんの嫌か?うわー…地味に傷付くわー。」
(あ…やばい、松田ぶっ殺してぇ。)
江川は一瞬にして真顔になり、智裕の後頭部を殴る。
智裕はテーブルにデコをつけて患部を両手で押さえて肩を震わせ痛みに耐えた。
「そこまで御膳立てすればいいんじゃないのか?あとはさっき作ったグループの通信で連絡し合えばいいだろう。」
「さすが、一起が居れば安心だな!」
「そうね、よし!明日は未来ある2人のために頑張るわよー!」
「頑張れねぇ……馬鹿かぁ……っ。」
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