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動き出す夏の恋⑧

 約1時間したら目的地に着いて、これまた一起の手際の良さですぐに入場した。 「バッティングしよーぜー!その次バスケな!」  1番のスポーツ好きな裕也は率先してはしゃいだ。  無邪気に直倫の手を引っ張って、バッティングコーナーに直進する。智裕たちはそれのあとを見守るようについていく。 「バッティングかー、松田くん、現役野球部の腕の見せ所だね。」 「野村ぁ……ストラックアウト行こうぜー…。」 「そうねー、天才左腕(サウスポー)さんはバッティングはゴミだものねー。」 「高梨…喧嘩売ってんのか?」 「あ、やっすい挑発にのったなこれ。」  バッティングコーナーに着くと、まず智裕がヘルメットとバットを持たされた。 「はい、お手本。」 「ただの処刑だろ!」 「松田くん頑張れー!」 「増田さんまで⁉︎」  見捨てられた智裕は左打ちのバッターボックスに観念して入った。  流石に甲子園まで出たからかフォーム様になっている。  バンッ 「これ速くね⁉︎」 「いえ。兄さんのストレートに比べたら20km/hは遅いですよ。」 「変化球ないんだから頑張れー。」  ヒュッ 「どわぁ⁉︎これ130じゃねーべ!」  結局、智裕は10球中ヒット性の当たりは2球で終わった。

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