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動き出す夏の恋(13)

「うーん、やっぱり難しいねー。」 「いやいやいやいや!何あれ!カッちゃんただの眼鏡だと思ってたのに!」 「大竹くん、それ地味に傷付くよ。」 「強肩……。」  裕也と直倫と一起は野村に群がって感心していた。そのすぐそばで智裕は高梨に肩を叩かれて慰められていた。 「はい頑張れー天才左腕(サウスポー)。」 「……うん。」 「松田くん。」 「あい?」 「ほどほどでも君なら全部クリア、出来るよね。」  野村の期待に満ち溢れた目は智裕へのプレッシャーとなって心臓を刺した。  そして智裕はケージに入って、特に騒がれるわけでもなく、1球も外さずに9つの的を全部当てて、女の子のキャーキャーもなく終わった。 「ざーんねん。モテないわねあんた。」 「うるせー!もう野球なんかやめてやる!」 「よっしゃ!じゃあバスケやろーぜ!3on3な!」  この中では1番不利そうな裕也が率先してバスケットコートに向かっていった。 「増田さん、行こう。」 「え、あ、あー、うん。」  ずっと惚けてしまっていた増田は野村に声をかけられてハッと気がつく。野村はそんな増田の手を引いた。

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