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タカナシさんの積年①
_イタリア通りのス●バにいる。
「なんで駅前じゃねーんだよ江川っち!遠すぎ!」
「……そうだね。」
智裕と高梨は駅から少し離れたお洒落な商店街を歩いていた。
夏休みだからかいつもより人が多く、人混みに呑まれそうになる。
「あ、っと…。」
ドンッ
「きゃっ!」
肩がぶつかった高梨は前のめりに転びそうになる。気がついた智裕がすぐに駆け寄って高梨を受け止める。
「おいおいおい、大丈夫か?」
「あ……うん……ごめん。」
高梨はすぐに智裕から離れてキャップを被りなおした。
「ボーッとすんなって。ほら、手。」
「え。」
「また転びてぇのか?手、貸せよ。」
智裕は自然に高梨の左手を握った。
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