699 / 1000

花火大会の日①

「ぺたぁ!ぱぱー!」 「はい、まーちゃん、♪ぺったんこー」 「ぺー!」  拓海の夏休み最終日、この日は地元の花火大会で智裕といつものメンバー(裕也、宮西、里崎、高梨、野村、増田)に誘われて花火の時間まで1番川沿いにある里崎の家で寛いでいた。  茉莉はお盆に拓海の実家で教えてもらったという「ぺったんこ」という歌にハマったらしく、父親に頬の「ぺったんこ」を要求していた。 「あぁ…ぁぁぁ…かわ、可愛すぎる…。」 「ぺったんこ最強……うはぁ…。」 「あー、心が洗われる。」 「微笑ましい親子のコミュニケーションだね。」 「ぺったぁ!ねーね!」  茉莉は今度は高梨のもとに駆け寄って「ぺったんこ」を要求してきたので、高梨はニコニコしながらそれに応えた。 「茉莉ちゃんにぃ…♪ぺったんこー」 「ぺたぁ!」 「ねーねー茉莉ちゃん、とーとにもぺたぁして。」 「とーと、やぁ!」  調子に乗った智裕は茉莉にフラれた。 「いっ、1歳にフラれてやんのー!」 「さ、さすが…ま、智裕…ブブッ!」 「…いや、可哀想だから笑わな……プッ!」 「茉莉ー、この椋丞(リョースケ)にーたんのところにおいで。」 「うー!ぺったぁ!」 「何で宮西はいいんだよ!……くっそぉ。」  智裕は涙目になりながら、拓海を強引に抱き寄せて自分の脚の間に座らせた。 「拓海さんとぺったんこするからいいもん!」 「ちょ…っと、みんないるのに…。」 (なんかアレ以来、拓海さんの(うなじ)とか見ると……いけないスイッチが…。)

ともだちにシェアしよう!