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花火大会の日②
「とーもーひーろ!」
バシッ
「いってぇ!何すんだよ優里!」
「公衆の面前で発情してんな!そしてツワブキちゃん独占禁止条約に反してるから!」
高梨と智裕のやり取りで、里崎と宮西、増田と野村、そして拓海も異変に気がついた。拓海はツキンと胸が痛んだ。
(え……高梨さんのこと…下の名前で……。)
(あーあ、なんかあったなあの2人。)
(でも優里、なんかすっごいスッキリしたような顔になってる…。)
拓海は少し下を向いた。
智裕は高梨に突っ込まれても拓海を抱きしめる手を緩めなかった。智裕の息が拓海の耳にかかる。
「拓海さんちょーいい匂いだなぁ…。」
「あんたがいない間に私もツワブキちゃんにハグしてやる。」
「へへーん、その前にまた拓海さんにキスマーク付けてやる、めっちゃ濃いやつ。」
高梨の失恋を経て、智裕と高梨には何故か拓海を取り合う図が完成していた。
安心していいのか不安になっていいのか分からない拓海は、また少し落ち込む顔をした。
そんな拓海に気がついたのは里崎だった。
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