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アカマツくんの挫折②
昨日の午後3時、U-18日本代表選手の最終追加が発表された。
すでに松田 智裕 、松田八良 、中川 駿太 など12名は確定しており、残りの8枠をトライアウト受験者から選出されることになっていた。
その中に赤松直倫の名前はなかった。
直倫が熱戦を繰り広げた馬橋の2年生正捕手の畠 晃 は名を連ねていた。
そしてもう1人、直倫と縁深い人物の名があった。
「……そうか……。」
隣で一緒に発表を見ていた直能は、少しだけほくそ笑んだ。
「島田 、受かったんですね。」
「そうだね……肩のハリがあって夏の大会には間に合わなかったから、1人で秋も見据えて練習していたんだよ。右投げの力強いオーバースローは馬橋の松田八良と同じタイプだから島田くんにとって良い経験になるだろう。」
島田翅 、聖斎 学園1年生、投手。
直倫とも昨年まで同じチームだった人物だ。そして、直能が自らの後継者と公言している直倫の同級生。
同じ1年生なのに島田は選ばれている。だから一層悔しさが増した。
それらのショックを直倫は家族の前で隠しきれなかった。
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