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アカマツ兄弟と海の景色①

 いつもより時間をかけながら朝食を食べ終えると、母は特製のプロテインを2人に出した。  同時に飲み終えると、直能が「ご馳走さま」と挨拶をして母に話した。 「母さん、今日は直倫と海に行って来るよ。」 直能の突然の提案に、直倫は「俺は行かない」と断ろうとすると、直能に指で唇を触れられてそれを制される。 「暗くなる前に帰って来てくださいね。」 「最終のバスまでには帰ってくるよ。」 直倫は直能に引っ張られて直能の部屋に入れられた。 「兄さん、俺は行くなんて言ってませんけど…。」 「直倫、砂浜で走ると下半身に負荷がかかってよく鍛えられるぞ。」 直能はウキウキしながらクローゼットから大きめのトートバッグ、そして自分のグラブとスペアのグラブを出してバッグに収めた。 「久し振りにキャッチボールでもしようか、直倫。」 あまりにキラキラした笑顔で言われて直倫もそれ以上拒否をすることが出来なかった。 「直倫、着替えとタオルを用意しておいで。」 「はい。」 「日焼け止めはあるか?」 「いえ…。」 「なら塗ってあげよう。腕、出して。」 言われるままに直倫が腕を差し出すと、直能が日焼け止めクリームを丁寧に塗ってくれる。  少しヒヤリとする温度と硬くなったマメだらけの感触。特に酷使し続けた右手は自分の何倍もの厚みがあった。 「どうかな、僕の右手は松田くんの左手に比べて。」 「え?」 「直倫なら解るはずだよね?」 正直に答えるべきかどうか少し迷う。  しかし嘘で取り繕うところで直能にはすぐ見抜かれてしまう。

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