『1ヶ月で10kgですね。』 「はひ？」 『先輩、1ヶ月で10kg増量しましょうね。参考までに今度の練習の時に俺が読んでる食トレの本を1冊貸しますから。』 「食トレ？」 『ダイエットならぬデブエットです。』 　智裕は愕然とした。 　そしてカレンダーを眺めるとU-18の説明会と決起集会が1週間後に迫っていることに今更気がついた。 「10kgって……ちょっとした赤ちゃんの重さじゃね？」 『俺のクラスの水上(みずかみ)って知ってますか？バレーボールの実業団チームに所属している…。』 「あ、水上なら俺も仲良いぞ。」 『彼も実業団の寮とか食堂で食トレしているみたいで、俺はそれも参考にして身体を作っているので、水上に訊いてみてもいいんじゃないですか？』 「あ……そっか！身体を大きくするなら競技は関係ねーもんな！サンキュー赤松、いいこと聞いた！」 　智裕はキラキラした目をしながら通話を終了した。 　そしてすぐに水上にメッセージを送った。 ＿明日11時に練習終わるんだけど、時間あったら飯いかね？ちょっと相談があんだよね！