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マツダくんのデブエット作戦⑤

 拓海はそんな智裕が心配になり体重計の表示を確認した。 「67.8……別に太ってないよ?」 「それが問題なんだよぉ……痩せすぎて、理想の体重があとプラス10kgなんだ俺。」 「え、10kgって結構すごいよ?」 「うん……しかも身長は少し伸びたかも…。」 「測ってあげようか?」  拓海は少し奥に置いてた身長計を出した。  智裕はスニーカーソックスも脱いで台の上に乗った。拓海がしっかりと測定をする。 「183.6cmだよ。」 「マジかよ!1cm伸びてる!」 「ええ!すごいねぇ…成長期なんだね。」  しかし智裕は複雑な顔をしながら身長計から降りた。  そして拓海の前に立つと、拓海の目線に合わせて屈んだ。 「拓海さんと1cm遠くなっちゃったなぁ…。」 「ん…っと…そ、そうなのかな?」  少し照れた拓海の唇に智裕は「チュッ」とキスをして、いたずらっぽく笑った。  その笑顔に拓海はまたキュン、と胸をときめかせた。 「1ヶ月で10kg増やさなきゃだし、これから死ぬほど飯食わなきゃなんだよね。」 「でも智裕くん、俺の2倍くらい食べるよね?俺もそこまで少食じゃないんだけど。」 「そうだよね、俺もキープくらいしてんのかと思ったんだけど。筋肉量は増えてるはずなんだけどなぁ…。」 「10kgでも単純な増やし方じゃダメなんでしょ?」  拓海は「食トレ」「食育」という単語が頭に浮かんで、机の方に向かった。  机の横にあるキャビネットに参考資料があったはずだと探し出す。  その間に智裕のスマホが振動した。 「もしもし、水上?おー、忙しいのに悪いな。」

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