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マツダくんのデブエット作戦⑦
「失礼しまーす。まっつんお待たせー!」
「よー水上!悪いなー!」
ガラッという音と同時に離れた智裕と拓海に水上は気がつかなかったようだった。
智裕はすぐに水上に近寄る。
「やっほー、ツワブキせんせ。」
「あ…えっと、おはよう、水上くん。」
「あー、久しぶりに癒しだわ、マイナスイオンだわー。」
水上は拓海に近づいて頭をくしゃくしゃに撫でる。智裕は少し嫉妬しつつ、自分の荷物の準備をした。
その智裕が見ていない隙に水上は怪しい笑みを浮かべた。
「何?また泣き落とし?だせぇな。」
またそうやって冷たく言い放たれたら、拓海は背筋が凍った。
「みーずかみー、行こーぜ。」
「なに?まっつんのおごり?」
「バーカ。待たせてくれてありがとう、ツワブキ先生、ばいばーい。」
「先生、またねー!」
水上は智裕の腰をバンバンと叩きながらあからさまに親しさを表現しながら保健室をあとにした。
バタン
ドアが閉まると、拓海はフルフルと震えながら涙をこらえた。
(も、もう泣かないもん!こんなことで、泣かないもん!)
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