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マツダくんのデブエット作戦(12)
その日の夕方から智裕のデブエット生活はスタートした。
夕方、河川敷の公園に直倫と裕也を呼び出してトレーニングに付き合わせた。直倫と智裕は川沿いをランニングをし、裕也が待機しているベンチに戻った。
「松田先輩、消費カロリーは?」
「724kcal だってよ……はぁ、あぁ…。」
「裕也さん、プロテインお願いします。」
「あのさ、何?俺プロテイン係なの?」
裕也はプロテイン用シェイカーを無表情で振っていた。充分に混ざった液体を智裕に渡す。
智裕はそれを一口飲むと顔をしかめた。
「うえ……何これ…スポドリがまっじぃんだけど。」
「もしかしてプロテイン飲んだことないんですか?」
「あるわけねーだろ!卵の白身と鶏肉の過剰摂取くらいしかしたことねーよ。」
「そこのドラッグストアにいっぱい種類が売ってますから買いに行きましょう。」
「はぁ…俺もとうとうミスター●スケのような生活を送るのか…。」
智裕はムキムキマッチョを目指しているわけではないので今置かれている状況が憂鬱で仕方がなかった。
「しゃーねーだろ、1ヶ月で10kg、しかも鍛えながらなんだから頼れよプロテインに。」
「お前飲んでみろよこれマッズイから!」
「いっつもそこの野球バカに飲まされてるから知っとるわボケェ!」
「何そのラブラブアピール、うぜー。」
「松田先輩、さっさと飲んでください。貴方の信念は『他人の100倍努力する』ですよね?今努力してください。」
「スイマセンゴメンナサイ。」
智裕は鼻を摘んでプロテインを一気に飲んだ。
罰ゲームでノニジュースを飲まされた時以来のリアクションだった。
「ぶはぁ!つーかなんでスポドリ⁉︎なんかココア味の牛乳とかじゃねーの?」
「牛乳だとお腹に溜まってしまうので、運動中の補給は吸収の早いスポーツドリンクが適しているんです。同時にミネラル、糖分、アミノ酸、塩分の補給も合理的に出来ます。味は我慢して下さい。あとで配合のメモはメッセージに送りますから、今日から運動中の水分補給は必ずこれにして下さい。」
直倫のスパルタっぷりに智裕は顔を青くした。
「あーあ……バカ真面目を本気にさせたな。ご愁傷様。」
裕也は再び走り出す智裕に向かって合掌し、再び直倫のレシピ通りに配合したプロテインドリンクを無心でシェイクした。
「デブエットつれえよおぉぉぉぉぉぉ!」
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