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マツダくんと戦友②

「すーずしー!」 「生き返るぅぅぅぅ!」  冷房のきいたホテルのロビーに避難した途端、W松田は天を仰いだ。  その凸凹2ショットは目立っており、遠巻きに色んな人から盗撮されまくっていた。 「何してんねんハチロー。」 「あ、シュンちゃん!もぉ、なんで先に降りとんの!」 「お前ら親子は東京まで乗り過ごしてんねん!どーせ昨日も寝られへんとかそういうことやったんちゃうんか!」 「え⁉︎シュンちゃんエスパー⁉︎」 「いつものことやろが!ええ加減直せボケ!」  会って3秒で漫才が始まった。智裕はぴしっと緊張しながら挨拶をする。 「お久しぶりです、シュンちゃん先輩!」 「おー、まっつん、久しぶりやなぁ。」 「馬橋、優勝おめでとうございます!」 「あ!それ俺に会うた時なかったで!」 「そらハチローさん相手やと締まらんからやろ。」 「あ。」  巨大な中川の後ろからひょっこりと見えたのは、馬橋の正捕手で八良の女房役だった(はたけ)だった。 「畠くん、トライアウト受かったんだ!」 「当たり前やろ、ドヘタレエースに言われとぉないわ。」 「おい!なんか清田と俺とで態度違くね?」 「な…!やかましわヘタレ!」  畠の顔は真っ赤に染まっていた。八良はニヤニヤと畠を見る。 「せやなー、畠はキョーちゃんにお熱やもんなー。」 「ちゃうわ!ただこのヘタレの扱い方を教えてもろぉとるだけや!」 「畠、やかましで。」 「ぐ…っ、と、とりあえずそういう事や、今度はチームメイトでよろしゅうな。」 「おう…宜しく。」 「あと、俺のことは呼び捨てでええから。タメやし。」 「そっか。俺も呼び捨てでいいぞ。」  畠と智裕は握手を交わした。

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