733 / 1000

マツダくんと戦友⑧

 写真撮影、採寸、日程の確認等々、終わった頃には夕方になっていた。 「あっはっはっ!智裕くん!こんなアホやけど仲良ぉしたってや!」 「は、はい。」  智裕と父は品川駅の新幹線の改札前まで、大阪に帰る馬橋学院のメンバーを見送っていた。  パワフルな八良の父に圧倒されながら挨拶を交わした。 「次に会うんは来月末の壮行試合前やな。お前らどっちが先発するんやろうな。」  中川がニヤニヤしながらそう言うと、智裕と八良は目を合わせて笑った。 「絶対負けへんで。」 「俺だって負けません。」  そして互いに拳を突き出して、気合を入れる。 「松田、次に会う時までに体重増やしとけや。しっかり身体出来てへんかったら乳首ドリルやで。」 「畠…お前やっぱ清田の時と態度違いすぎ。」 「せやからキョースケ関係あらへんわ!」  いくら鈍い智裕でも気付いてしまった。 (畠、清田のこと絶対好きだなこれ。) 「よっしゃ、また連絡してやー。」  新幹線の時間が迫った一同は、改札をくぐってホームへと向かった。  全員の背中が見えなくなったところで、智裕と父は在来線の改札に向かって歩き出した。 「親父、オフクロがなんかケーキ買って来いとか言ってなかった?」 「あー、改札の中だっけ?」 「だったか?ちょっと調べようぜ。」  母からの頼みごとを思い出した2人は壁に寄って、智裕がスマホを取り出して目的のものを調べる。

ともだちにシェアしよう!