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マツダくんと戦友⑩
目的のケーキを購入し、電車に乗って帰路に着く。電車に揺られながら智裕は父にぼやく。
「親父…俺、どうしよう。」
「知らねーなー…しかし今時の高校生ってみんなあんなシュッとしてんのか。お前本当可哀想だな。」
「息子の悩みに塩を塗りこまないでくれる?」
「ま、何を決めるのも本人の責任だ。お前が考えることじゃねーよ。」
「だーよなー…八ツ当りだよなぁあんなの。」
智裕は盛大にため息をついた。吊り革を強く握った右手が妙に痛く感じた。
(赤松は俺らを選んでるってことか。大竹のこともあるんだろうけど…本気で上を目指すなら、聖斎に戻るべきなんだろうけど……でも、俺らが上を目指すには赤松が必要だ。直能さん、島田…それに赤松…もうちょっと待ってくれ。アメリカから帰って来る日には答えも出てるだろうし、な。)
「智裕。」
「何?」
「急ぐことはねぇよ。」
「……おう。」
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