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夏休み閑話【夏風邪】①
「ということで、茉莉 ちゃんを2、3日預かることになりました。ねー!」
「ねー!」
智裕が家に帰ってくると、食卓に幼児用の椅子が並べられてそこに茉莉が鎮座していた。隣にいる父の顔はデレデレだった。
「いや、ということで、じゃなくて説明しろや。」
荷物を片し、洗面所で着替えながら母にしっかりとした説明を求めると、母は面倒臭そうに答えた。
「夕方、石蕗 さんが高熱出して廊下で蹲 ってたのよ。病院もまだだって言うし、じゃあ治るまでうちで茉莉ちゃん預かりましょうかってことになったのよ。」
「あー…そういうことね。」
「子供にうつったらもっと大変だろうし、ゆっくり休むのが一番良いのよ。」
「ですよねー。」
「というわけで、今日アンタの分の夕飯ないからね。」
「……はぁ⁉︎」
現在絶賛デブエット中の智裕にとって母の宣告は酷なものだった。パンツしか穿いてない状態で智裕は母に反論を始めた。
「なんで⁉︎いやマジでなんで⁉︎」
「シャワー浴びたら石蕗さんの家行きな。」
「いやいやいや、ツワブキさん風邪引いてるって言ったの貴方ですよね?」
「冷たい男だねー、石蕗さん1人でしょ。ご飯作ったり清拭してあげたり、看病してあげないさいよ。」
(拓海さんの看病とか喜んで引き受けますよ?だけど普通俺がただの隣人の看病って不自然じゃね?え、もしかして俺たちのことバレてる?そんなわけねーよな、拓海さんに手ぇ出してんのバレたら多分俺が殺されるし…なんで?)
「あーあ、石蕗さんに帰省のお土産貰ったのにウチは何も返せてないのよねー。」
「ちょっと待って!俺そんなお土産見てねーんだけど!」
「その日に宮西さんとお茶会だったから食べちゃったわよ。美味しかったわー、チーズケーキ。」
「ババア!てめぇ何してんだ!」
衝撃事実に智裕は憤慨した。しかしその倍の勢いで智裕は気圧される。
「いいからちゃっちゃとシャワー浴びろ!もぉ、あんた汗とか泥とかクサイんだよ!」
そう足蹴りされて浴室にぶち込まれた。
「制汗剤しましたけど!なんでこんな理不尽なの!ねぇ!」
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