739 / 1000
夏休み閑話【夏風邪】④
通い慣れた石蕗家を物色し、拓海の寝巻きにしているTシャツとハーフパンツと、ボクサーパンツを揃えた。
そして清拭をする為に洗面器にぬるま湯とタオルを入れて寝室に持っていく。
「拓海さん、ちょっと身体起こせる?支えてあげるから。」
「……ともひろ、くん……ん、おきる……ゴホッ!」
拓海がゆるりと起き上がると、智裕はベッドに腰をかけた。
「上、脱がすね。」
「ん……ありがと…。」
器用にシャツのボタンを外すと、拓海の美しい身体が熱で紅潮している、それは情事を連想させる淫靡なもので、智裕は事の重大さにやっと気がついた。
(ダメだダメだダメだダメだ!愚息!お前は起きなくていい!拓海さんは病気だから!病気なんだから!)
シャツを脱がせると、華奢な肩、細い腕とお出ましになる。
(我慢しろ!拓海さん具合悪いんだぞ!俺の愚息!)
急いでぬるま湯に浸かったタオルを絞って、拓海の身体を拭いた。汗で不快だった肌がスッキリした拓海は無意識に。
「きもち、い……。」
そう呟く。
智裕の脳内と下半身の爆弾が点火した。
「そ、そう!良かったぁ…アハハハハ!」
「ゴホッ、ゴホッ…!ともひろくん……じょーず…だね?」
(そんな掠れた声で『じょーず』って褒められるとエッチな方向に……いや、ダメだ!そうじゃない!)
「ほら、智之が風邪引いた時とか俺が看ること多いからさ。オフクロも仕事休めねー時とかあるから叩き込まれたんだよなー。」
「ん……やさしい、んだね……。」
天使の微笑みを向けられて、顔が綻んだ智裕は自然な流れで下半身の衣服を脱がせた。
「ぬお⁉︎」
「ひゃ……あ、ちょ…ゴホッ!み、みな…い…でぇ…。」
(拓海さん…もしかして上半身の清拭で感じた…?)
ともだちにシェアしよう!