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夏休み閑話【夏風邪】⑥

 いつもの部屋着になったところで、拓海の頭を氷枕に乗せると拓海も気持ちよさそうに眠りについた。  その間に智裕は適当な手鍋でお粥を作り始めた。  生米しか持たせられてなかったので石蕗家の冷蔵庫を開けて中身を確認した。  卵と冷凍庫から冷凍されていた刻みネギを適量取り出した。 (俺の飯どーすんだよ…コンビニで買うか……でも拓海さん1人にしたらまた泣いちゃうだろうしなぁ……コンビニ?あ!)  グツグツと炊けるのを待ちながら智裕はスマホでメッセージを送った。  20分して、そろそろお粥も出来そうな頃、石蕗家にインターホンが鳴り智裕が応答した。  ドアを開けるとコンビニの袋を2つ抱えた一起が立っていた。 「江川っちー!やっぱり持つべきものはコンビニバイトの友達だなぁ!」 「松田の分際で俺をパシるとかいい度胸してんな。それより、石蕗先生大丈夫なのか?」 「おう、今からご飯食べさせて薬飲ませるつもり。思ったよりは平気そう。」 「これ、フルーツのパウチと飲み物…あと栄養剤も入ってるから石蕗先生に…。」  説明しながら白い袋の方を智裕に渡した。そして色のついた方を智裕に雑に渡した。 「丁度商品入れ替えの時間だったからこれ廃棄処分のな。」 「俺の待遇!」 「別に食えないわけじゃねーからいいだろ。ホームレスのおっさんだって食ってるぞ。」 「え、俺看病してんのにホームレス扱い⁉︎」 「じゃ、俺はここで……お前さ、病人に手ェ出すなよ。」  ギロリと睨まれて釘を刺された。「既に手を出しました」と言えば殺されかねなかった智裕は嘘のような無邪気な笑顔を一起に向けて「ありがとう」と言った。  一起は「お大事に」と言って、ドアを閉めた。

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